20248/17
夏の終わりに涼を感じる—8月の会席料理、八寸
お盆休みも終盤を迎え、朝晩の風に少しずつ秋の気配を感じるようになりました。
それでも、まだまだ残暑厳しいこの時期に、涼しさと夏らしさを感じていただける8月の御料理をご紹介いたします。
大きな器には氷を敷き詰め、見た目にも清涼感を演出。その上には二つの小鉢を盛り付けています。
一つは「暁豆腐」、パプリカとじゃがいもを合わせた寄せ豆腐で、彩りのアクセントとして京野菜の甘長とうがらしを添えました。
もう一つの小鉢は、伝統的な炊き合わせ。小芋、蛸の柔らか煮、南瓜を丁寧に煮て、素材の持ち味を引き出しています。
この「いもたこなんきん」という組み合わせは、江戸時代の作家・井原西鶴の作品にも登場し、夏の定番料理として親しまれている一品です。
さらに、下の段には鱧の子を卵寄せにした小鉢を。
そして手前には、枝豆ととうもろこしを包んだ春巻きをご用意しました。
さっぱりとした風味が特徴の春巻きは、土佐酢マヨネーズを敷くことで、程よい酸味とまろやかさが加わり、口当たりの良い一品に仕上がっています。
また、蓮の葉の上には小鯛の小袖寿司を。爽やかなさつまいものレモン煮と、ふっくらと焼き上げた出汁巻き卵が並び、見た目にも華やかな仕立てになっています。
暑さが厳しいこの時期こそ、食の工夫を感じていただけるよう、
涼やかな見た目とさっぱりとした味わいで仕上げた夏の御料理たち。
残り少ない夏を、この涼を感じる一皿で存分に楽しんでいただければ幸いです。
阿倍野は安来家で、季節の移ろいをぜひご堪能ください。