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早いもので、もう秋の風を感じる9月がやってきました。

まだまだ残暑が続いていますが、安来家では、季節の移ろいを少しずつ感じられるよう、御料理に秋の要素を取り入れ始めています。ひと月ごとの小さな変化を大切にし、それをお料理で表現することで、お客様に季節の移り変わりを感じていただきたいと考えています。

9月には、日本の伝統行事を祝う2つの大きなイベントがあります。

まず一つ目は「中秋の名月」、いわゆるお月見です。

今年は9月17日、秋の夜空に浮かぶ満月を楽しむため、多くの方が月見団子をいただくことでしょう。

その風情を取り入れて、右上の先付には月に見立てた茶碗蒸しをご用意しました。

滑らかな餡が薄く張られた温かな茶碗蒸しの上には、ホタテと煮穴子が添えられ、さらに月にいるうさぎを象徴する長芋をあしらいました。この温かさと優しさをお月見と共に感じていただければと思います。

もう一つのイベントは「重陽の節句」、菊の節句とも呼ばれる行事です。

この日は、平安時代の貴族が行った「着せ綿」の習慣にちなんで、左手前にはその風習を模した一品をご用意しました。

着せ綿は、菊の花に真綿を被せて香りを移し、その香りを翌朝に体に移すことで無病息災を願うというものでした。

私たちはその精神を取り入れ、香り豊かな菊の下に法蓮草と甘エビを忍ばせ、まろやかな土佐酢ジュレを掛けました。

さらに、旬のリンゴを擦りおろして土佐酢に混ぜることで、秋の香りを移し酢をまろやかにし、最後にウニを添えてアクセントを加えました。

すすきを添えたこの盛り付けは、9月の秋の香りをまずお楽しみいただき、

次のお料理への期待感を膨らませてくれるはずです。

こうして季節の移り変わりを感じながら、最終的にはデザートまで心ゆくまでご堪能いただけるよう、心を込めてご提供させていただきます。

夏から秋への移り変わりを、安来家の御料理でぜひ体感してください。

季節の彩りと共に、皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

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