日本料理の真髄、初夏の炊き合わせ
― いも・たこ・なんきん、季節の涼味を一椀に
梅雨の湿気に包まれたかと思えば、気づけば真夏のような陽気が続く6月。
30℃を超える日も珍しくなく、身体も心もついていくのがやっとの方も多いのではないでしょうか。
そんな時季だからこそ、安来家では、見た目にも味わいにも涼を感じられるよう工夫を凝らした炊き合わせをご用意しております。

■ 芋・蛸・南瓜――日本料理の定番にして奥深き組み合わせ
この時期、ぜひ味わっていただきたいのが「いも・たこ・なんきん」の炊き合わせ。
江戸時代の浮世草子作家・井原西鶴が「とかく女の好むもの、芝居・浄瑠璃・芋・蛸・南瓜」と詠んだように、
昔から人々に親しまれてきた食材の組み合わせです。
実はこの言葉、ただの洒落や語呂合わせではなく、
いずれも夏に旬を迎える栄養価の高い食材であることから、日本料理の世界では長く重宝されてきました。
安来家では、新小芋をふっくらと炊き、南瓜にはほのかな甘みを残しながら煮含め、
蛸は口の中でほどけるよう柔らかく仕上げています。
それぞれの素材の持ち味が引き立ち、なおかつ一体感を持って口の中で調和するよう、
炊き加減と味の含ませ方に細心の注意を払っています。
■ 爽やかさを添える、木の芽ジュレ
暑い時季の炊き合わせは、少し冷やしてお出しするのもひとつの粋。
安来家では、仕上げにすり潰した木の芽を使ったジュレをあしらい、初夏の爽やかな香りを添えてご提供しております。
木の芽の涼やかな香りとぷるんとした食感が、出汁の旨みと絶妙に絡み合い、
口当たりは軽やかで、しっかりと満足感のある一椀に仕上がっています。
暑さに疲れた体にも優しく染み入るような味わいです。
■ ご来店はもちろん、ご自宅でも味わえる一品を
6月とはいえ、日中の気温はすでに真夏のよう。
外出するのも億劫になるような暑さの中で、
「安来家の料理を食べたいけれど、外に出るのはちょっと…」というお声もいただきます。
そんな時には、ぜひ仕出し料理をご利用ください。
阿倍野の地で70年以上、日本料理を仕出しでお届けしてきた経験をもとに、
店内でお出しする味そのままに、ご自宅やお集まりの場でもご堪能いただけるようお作りしております。
四季の移ろいを繊細に映し出すのが日本料理の魅力ですが、特に6月は“夏の入り口”という不安定で繊細な季節。
そんな微妙な季節の変わり目を、お料理というかたちで表現し、
お客様に感じていただくことが、私たちの喜びでもあります。
いも・たこ・なんきんの炊き合わせが、皆さまの夏の始まりに、そっと寄り添えますように。