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十月の懐石料理は、「お月見(十五夜)」をテーマにお作りいたしました。

夏の名残が遠のき、空気にひんやりとした澄みが加わるこの季節。

少しずつ深まりゆく秋の気配を、器と食材のひとつひとつに映し込んでおります。

本年の十五夜は十月六日でしたが、安来家ではこの一ヶ月を“お月見の季(とき)”として、月を愛でる心を御料理に込めています。移ろいゆく自然の姿、その儚さこそが秋の醍醐味。

旬の恵みとともに、この瞬間だけの味わいをお楽しみいただければ幸いです。

■ 先付 ― 秋の月を映す器と味わい

まずご覧いただきたいのは、左上に添えた満月の金色の器。

本来は茶懐石で用いる酒盃ですが、「お月見の一夜にぴったり」との想いから、あえてこの器を先付に選びました。

器の中には、甘鯛の酒蒸し

ふんわりとほどける身に、栗と白味噌を合わせた栗味噌ソースをかけ、香り高い秋の趣を添えています。

さらに削り栗と銀杏を散らし、仕上げに花穂紫蘇(はなほじそ)をひと房。

目でも舌でも、秋の深まりを感じていただける一品です。

■ 白和え ― 酢橘香る秋果のはじまり

右手前の小鉢は、会席の幕開けにふさわしくするため酢橘仕立ての白和え

旬の果実──シャインマスカット、柿、梨──を合わせ、あっさりとしながらも滋味豊かに仕上げました。

秋の果実それぞれの甘みや酸味、食感が白和えと溶け合い、口の中にさわやかな余韻を残します。

「秋がはじまったな」と感じていただけるよう、味わいの軽やかさと香りの透明感にこだわりました。

これから続く懐石の流れへと、穏やかに導く一品です。

■ 十月の懐石 ― 阿倍野で味わう“秋の物語”

季節がゆっくりと進み、木々が彩りを増していくこの時期。

安来家の十月懐石は、「秋のはじまりを告げる物語」として、先付から八寸、焼物、煮物、そして甘味に至るまで、この10月ならではの実りをモチーフに展開いたします。

お料理一つひとつに、移ろいゆく季節の美しさを宿らせること。

それが私たち日本料理人の、何よりの喜びでございます。

阿倍野にて、どうぞ心ゆくまで“秋の月”を味わいにいらしてください。

■ おせち料理のご予約も承り中

また、毎年ご好評いただいております安来家特製おせち料理も、今年は例年より早く多くのご予約を頂戴しております。

心よりありがとうございます。

仕出し配達・店頭お渡し、いずれの形でも承っておりますので、まだまだぜひご予約くださいませ。

十月の懐石とともに、一年の節目を彩るおせち料理も、心を込めてお作りいたします。

皆さまのご来店・ご予約を、スタッフ一同心よりお待ち申し上げます。

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