いつも安来家をご利用いただき、誠にありがとうございます。
6月は茶懐石出張料理と、その振替のため、下記の日程で通常営業を臨時休業とさせていただきます。
- 6月9日・10日:茶懐石出張料理のため休業
- 6月15日・16日:振替のため休業
ご来店を予定してくださっていたお客様には、ご迷惑をおかけいたします。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
今回の出張料理は、生國魂神社にて行われる茶懐石のお料理です。
安来家では毎年、年に数回、こちらの茶懐石出張料理に携わらせていただいております。
600名様近くのお料理をお作りし、ご提供させていただく大きなお仕事であり、
通常営業とはまた違った準備と緊張感があります。
前回のブログでは、向付、一文字飯、汁物、椀物、飯器など、席中で一品ずつ進んでいく茶懐石の流れをご紹介しました。
茶懐石は、お茶をおいしくいただくための食事です。
茶事では、飯、汁、向付から始まり、椀盛、焼物などへ進む一汁三菜を基本とした流れがあり、料理そのものだけでなく、順番や間合いにも意味があります。
一方で、今回ご提供するのは、前回ご紹介したような席中の本格的な茶懐石とは少し違い、点心の御料理です。
茶会では、濃茶や薄茶を中心に多くのお客様をお迎えするため、本式の懐石をそのまま行うのではなく、懐石を簡略化した点心としてお弁当形式のお料理を用意することがあります。

点心は、ただ品数を減らした料理というより、茶会の進行や人数に合わせて、限られた時間の中でも季節と茶の心を感じていただくための形です。
席中の茶懐石では、料理が一品ずつ運ばれ、飯や汁の出し方、酒や器の扱いまで含めて、茶事全体の時間と深く結びついています。
それに対して点心は、多くのお客様が入れ替わりながらお茶をいただく場でも召し上がりやすいよう、懐石の考えをひとつの折や膳の中にまとめるものです。
形式は違っても、お茶の前に空腹をやわらげ、季節を味わっていただくという根本の考えは変わりません。
そのため、点心を作る時には、見た目をきれいに詰めるだけでは足りません。
温かいもの、冷めても味が残るもの、口に運びやすいもの、茶席の前後に重たくなりすぎないものを考えながら、一折の中で味の強弱をつけていきます。
茶懐石のように順番に出せない分、限られた器の中で、季節、量、彩り、食べやすさのバランスを取ることが大切になります。
大人数のお客様に向けた点心では、見た目の華やかさだけでなく、召し上がりやすさ、運びやすさ、時間が経っても味がぼやけにくいことも大切になります。
茶懐石の考えを踏まえながら、ひと折の中に季節感や味の流れを込めるため、献立、盛り込み、配膳の段取りを一つずつ考えてご用意しています。
600名様近くのお料理を2日間にご提供する出張料理では、仕込み、盛り込み、運搬、現地での受け渡しまで、店内営業とは異なる準備が必要になります。ひとつひとつのお料理が同じように届くように、また茶会の進行に支障が出ないように、人数の多い御料理だからこそ細かな段取りを重ねております。
6月は二十四節気の芒種を迎え、暦の上でも梅雨入りへ向かう初夏の時期です。水無月の空気、青もみじの涼しさ、雨の季節に合う軽やかさを、点心の御料理にも自然に映せるよう努めてまいります。
臨時休業によりご不便をおかけいたしますが、茶懐石出張料理に心を込めて取り組んでまいります。
通常営業の再開後も、変わらず安来家をよろしくお願い申し上げます。
