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8月も、もう終わりを迎えようとしています。暦は処暑を過ぎましたが、日中にはまだ厳しい暑さが残り、涼やかな味わいがうれしく感じられる頃です。一方で、朝夕の空気や少しずつ短くなる日の長さに、次の季節の気配も見え始めます。

夏をきっぱりと終えるにはまだ早く、けれども秋は少しずつ近づいている。

八月の末には、そんな二つの季節が重なる趣があります。

今の季節を最後まで味わいながら、その先にある秋を思うのも、この時季ならではの楽しみです。

2026年は8月23日が処暑、9月7日が白露です。処暑は暑さがおさまる頃、白露は草に露が宿る頃とされ、8月の終わりは、まさに夏から秋へ渡っていく途中にあります。

実際の暑さは暦どおりにはいかないものですが、日本料理の献立は、こうした小さな季節の変化をひと足早く映していきます。

安来家でも、9月を迎えると御料理は一気に秋へと移ろいます。

そこで今回は、秋の献立へ進む前に、夏本番の8月にお出しした先付をご紹介いたします。

青い器で始まる、8月の先付

会席の始まりに、爽やかな印象をお届けしたいと考え、盛り付けには青い器を選びました。

器の中には、夏が旬のスズキと、茄子、トマト、パプリカ、アスパラガス、ラディッシュ。

夏野菜のさまざまな色が、青の器の中に浮かぶように。

色も形も異なる夏野菜を少しずつ盛り合わせると、ひと皿の中に八月の鮮やかさが広がります。

そこへ青い器が加わることで、御料理をお運びした瞬間から涼を感じていただけるようにしました。

お箸をつける前の眺めも、先付の味わいの一部です。

スズキと夏野菜の上からかけたのは、土佐酢のジュレです。

土佐酢をジュレにすることで、涼やかな夏の仕立てにしました。

その上に、黄身酢をぬった車海老を飾り、蓮根チップを添えて完成です。

最初のひと口は、ぜひそのままでお召し上がりください。スズキ、夏野菜、土佐酢ジュレ、黄身酢をぬった車海老を、それぞれの取り合わせとともに味わっていただけます。

そして途中からは、別添えの酢橘を絞って。酢橘の香りと酸味が加わり、同じひと皿の中に新しい表情が生まれます。はじめの味わいと、酢橘を添えた後の味わい。その変化も、この先付の楽しみのひとつです。

お客様ご自身の頃合いで酢橘を絞っていただくことで、食べ進める時間にも小さな変化が生まれます。最初からすべてを一つの味にせず、ひと皿の途中にもう一つの楽しみを残しておく。夏の先付を最後まで軽やかに召し上がっていただくための趣向です。

先付は、これから始まる会席への期待を込めた最初の御料理です。

暑さの盛りには、器の色や土佐酢ジュレ、酢橘までをひとつの流れとして考え、目にも口にも爽やかに始まるようご用意しました。青い器に映る夏野菜の彩りには、過ぎゆく夏の鮮やかさも重なります。

小さなひと皿ではありますが、最初にどのような器で、どのような味わいをお届けするかによって、その後に続く会席の印象も変わります。八月の先付には八月らしい涼やかさを込め、季節の入口としてお出ししました。

名残の夏を惜しみながら、献立は次の季節へ。

器、食材、盛り付け、味わいを少しずつ変えながら、その時季ならではの景色を一皿に映していくことは、日本料理の楽しさのひとつです。

9月からは、秋へと移ろう季節の御料理で皆さまをお迎えいたします。

残暑の向こうに待つ秋の味わいも、どうぞ楽しみにお待ちください。

お食事のご予定がございましたら、お席や仕出し・会席・懐石についてもお気軽にお尋ねください。

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