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企業や学校での、大切なお客様をお迎えする日。

または、月に一度の重要な役員会議。

そうしたビジネスの場におけるお食事の手配は、幹事さんの肩に重くかかるものです。

「絶対に失敗できない」という緊張感の中で、お料理の質はもちろん、当日のスムーズな段取りが求められます。

阿倍野にある安来家では、そうしたビジネスシーンの緊張感に寄り添い、会議室へ直接、日本料理をお届けしています。

会議室に並ぶ、ふたつの箱

ビジネスの場では、その日のスケジュールや参加者の都合に合わせて、お料理の形を選んでいただけます。

その場でゆっくりと召し上がる重要な会議や接待では、黒塗りの十字仕切りの器に詰めた「松花堂弁当」がよく選ばれます。お店でお出ししている懐石・会席料理と同じように、お造りや季節の炊き合わせなどを美しく整えます。

温かいお吸い物が別で付くのも、おもてなしの席で喜ばれる理由のひとつです。

一方で、「机の上が資料でいっぱいだからコンパクトなものが良い」「会議のあとにそのままお持ち帰りになる方もいる」といった場合は、木の箱に詰めた「折詰弁当」をご用意します。

ふたを開けたときの華やかさはそのままに、食後の片付けも手軽なのが特徴です。

また、「相手の方がお寿司を好まれる」といった事前の情報があれば、上にぎり寿司の配達に変更することもできます。

メニューにないご予算にも応えます

会社での集まりは、あらかじめ「一人あたり〇〇円」と予算が決まっていることがほとんどだと思います。

安来家では、メニューに載っていない価格帯であっても、ご指定のご予算に合わせて食材を調整し、きちんとしたお弁当をお作りします。お肉やお魚のバランスなども、遠慮なくお伝えください。取引先や役員の方々にお出ししても、満足頂けるようにお料理をお作り致します。

幹事さんの負担を減らす、配達と事務手続き

ビジネスの現場では、時間が命かと思います。

だから私たちは、会議の進行やスケジュールの邪魔にならないよう、配達の時間を厳守します。最後の仕上げを終えたお弁当を車に積み、なるべく早めのお時間に会社の玄関先やご指定のフロアへとお持ちします。

領収書や請求書等の各種「事務手続き」もスムーズに行えるよう整えています。

【会社関係のご注文でよくいただくご質問】

Q. お茶のペットボトルは一緒に用意できますか?

• はい、ご用意できます。お弁当の数に合わせてお持ちいたします。

Q. 請求書払いや、領収書の宛名指定はできますか?

• 対応しています。お電話でのご注文時に、ご希望の宛名や支払い方法をお伝えください。経理の方とのやり取りがスムーズに進むよう、きちんと書類を用意します。

Q. 会議が延びるかもしれないので、容器の片付けが気になります。

• 「折詰弁当」でしたら使い捨ての容器ですので、会議が終わったあとにそのまま破棄していただけます。持ち帰り用の袋もご用意できます。器の「松花堂弁当」の場合は、後ほど私たちが回収に伺いますので、廊下などの隅にまとめておいていただければ大丈夫です。

わからないことや、予算についての相談があれば、気軽にお電話でお尋ねください。

お話をお伺いしながら、その日に向けてご準備いたします。

三月も後半になると、少しずつ暖かくなってきました。

この時期は、ご両家の顔合わせや、ご長寿のお祝いなど、大切なお席のご予約をよくいただきます。

ハレの日は、少しの緊張感と、大きな喜びがあるものです。

阿倍野の街に根を下ろす安来家では、そんなかけがえのない一日を、静かにお座敷で過ごせるよう整えています。

ゆっくりと弾む会話に、料理を合わせる

こうしたお祝いの席では、やはりお店にお越しいただき、個室のお座敷でゆっくりとされる方が多いです。

そこで私たちが一番大切にしているのは、その場の空気と空間です。

顔合わせなどは、楽しい会話が弾んで、お食事のペースがゆっくりになることもございます。

そんなときは、お客様のご様子を見ながら、コース料理をお出しするタイミングを少し遅らせます。

熱々のものは熱いうちに、お召し上がりになる瞬間に合わせて。

焦らず、ゆっくりとしたひとときを過ごしてもらいたいと、そう思っています。

歯の悪い方にも、美味しく召し上がっていただくために

お祝いが、ご年配の方が主役の席であれば、お料理の内容にも工夫をいたします。

「柔らかいものを」というご希望があれば、お一人様だけ、お肉を柔らかく炊いたり、小さくカットしたりと内容を変えてお作りします。歯の悪い方でも、無理なく美味しく日本料理を楽しめるように。

ご要望に合わせて、お祝いのお赤飯や、立派な祝い鯛も用意いたします。

ご自宅での仕出し。人気の松花堂弁当

また、無理な外出を避けて、ご自宅でお祝いをされたいという方には、仕出し料理として配達でお持ちします。

その際、器の松花堂弁当の形が一番よく選ばれます。

とくに、豪華な七千円のお弁当が人気です。

お家でも、お店と同じように、華やかなハレの食卓を囲めます。

春の香りを、熱々のかき揚げで

いまお店でお出ししている、揚げ物の一皿です。

海老と、春の食材であるウド(独活)、セリ(芹)を合わせたかき揚げ。

そして、海の香りが広がるあおさの天ぷらを添えました。

サクッとした食感とともに、春特有の心地よい苦味と香りがふわりと立ち上がります。

失敗できない、大切な日。

その準備をお引き受けいたします。お店でのお食事も、お家へのお届けも。

わからないことがあれば、気軽にお電話でご相談ください。

お話をお伺いしながら、良い一日になるようにお力添えできれば幸いです。

四十九日や一周忌、三回忌。

お通夜のような急な集まりとは違い、あらかじめお日にちが決まっていて、ご親族様が集まるご法要があります。

阿倍野の安来家では、そうしたご予定に合わせたお食事の準備も承っています。

その日に向け、一番美味しい状態へ

お日にちが事前に決まっているからこそ、私たちにできることがあります。

皆様がお集まりになるその日に向けて、二日前から仕入れる食材もあります。

それは一番美味しく召し上がっていただける状態へと丁寧に「仕込み」をすることです。

たとえば、お店でお出しする懐石・会席料理の炊合せ。

いまの時期は「桜鯛の道明寺蒸し」をお作りしています。

新じゃが芋とうすい豆を丁寧に裏ごしし、出汁で薄く伸ばして淡い緑色の擦り流しに仕立てます。その上に道明寺で包んだ桜鯛と、桜の花の塩漬けを。手前には、出汁を含ませた新玉ねぎと蕾菜を添えました。

時間をかけて食材と向き合い、手元で整えた日本料理の一皿です。

「お肉を入れたい」「お刺身は抜いて」にお応えします

事前にご相談いただければ、献立の内容をご要望に合わせてお作りできます。

「お肉の料理を入れてほしい」「海老や鶏肉は抜いてほしい」「お刺身はなしで」など、ご親族の好みやアレルギーに合わせて調整いたします。故人のお好きだったものなどがあれば、気軽にお伝えください。

お店での昼懐石と、配達の折詰弁当

お食事の場所や、その日のスケジュールに合わせてお料理の形も選んでいただけます。

お店にご来店いただく場合は、お座敷でゆっくりと「昼懐石」を召し上がる方が多いです。その後の予定が立て込んでいて少しお急ぎの場合などは、一度にお料理が揃う「松花堂弁当」をお店でお召し上がりの方もいらっしゃいます。

お好みに合わせてお選びくださいませ。

また、ご自宅やお寺へ仕出し料理として配達でお持ちする場合は、やはりお持ち帰りにも便利な「折詰弁当」が現在の定番です。こちらもご予算に合わせて、中身をしっかりと整えます。

ご親族が揃って、故人を偲ぶ大切な一日。

その日のためのご準備も大変かと思います。

人数やお料理の形など、わからないことがあればなんでもお電話でご相談頂けますと幸いです。

お通夜やお葬式など、お別れの日は突然やってきます。

悲しみの中で慌ただしく連絡を回り、ふと「親族の食事をどうしようか」と迷うことがあるかもしれません。

急な集まりのときこそ、少しでもご家族の負担を減らせるように。

阿倍野にある安来家では、ご法事の仕出し料理もお届けしています。

前日のご連絡でも、まずはご相談を

ご注文は、通常2日前までにお願いしています。

ただ、ご法事は急に日にちが決まるものです。ですので、前日のご連絡でも対応しています。

もし当日の場合でも、その日の予約状況にはよりますが、できる限りのお手伝いをいたします。

慌ただしい時間帯かとは思いますが、まずは一度、お電話でお尋ねください。

持ち帰れる「折詰弁当」

ご法事の席では、以前は黒塗りの器の「松花堂弁当」が定番でした。

けれど最近は、集まったあとにご自宅へ持ち帰る方もおられるため、そのままお渡しできる「折詰弁当」を選ばれることが多くなっています。とくに、持ち運びに便利な二段の折詰の箱がよく選ばれています。

ご予算に応じて、7,000円や10,000円といった、少し贅沢な食材を盛り込んだお弁当をお作りすることもできます。

お肉やお魚の調整、アレルギーの有無などがありましたら、事前にお伝えください。

ご要望に合わせて、きちんと箱にお詰めいたします

70年続く、仕出しの心得

配達や持ち帰りのお弁当は、なるべく直前に仕上げていますが、どうしてもお召し上がりになる頃には熱が引いています。

ですが、私たちお店として一番大切にしているのは「冷めた状態でも美味しく食べられること」です。

安来家は70年間、この街で仕出しを作り続けてきました。

時代とともに懐石・会席料理の形は少しずつ変わっても、根底にある心得は変わりません。

それは、お客様がふたを開け、口に運ぶその瞬間に、味がぴたりと決まるようにすること。

そのために出汁を引き、丁寧に火を入れます。

時間が経っても美味しい日本料理の形を整えますので、どうぞ安心してお任せいただければと思います。

お料理の準備は私たちがお引き受けいたします。

ご家族の皆様で、ゆっくりとした時間をお過ごしいただければ幸いです。

生後100日のお食い初めや、お宮参り、初節句。

赤ちゃんが生まれると、ご家族やご親族が集まる大切な日がいくつもやってきます。

阿倍野にある安来家でも、そうした節目の日のお食事を用意することがよくあります。

朱色の器に並ぶ、お食い初め膳

お食い初めのお祝いでは、赤ちゃんのための専用の御膳を整えます。

小さな朱色の器には、それぞれ意味を込めた品を並べています。

ふっくらと炊いたお赤飯、出汁を含ませたお野菜の炊き合わせ。そして、季節の八寸、お吸い物、中央には梅干しを添えます。

これらに加えて、お祝いの席に欠かせない、香ばしく焼き上げた尾頭付きの鯛と、丈夫な歯が生えるようにと願う「歯固めの石」も一緒にお出ししています。

初めてのお子様の場合、「どんな順番で食べさせる真似をすればいいのだろう」と迷うかもしれません。

だから、お食事と一緒に「儀式手順」を書いた紙をお渡ししています。

その手順を見ながら、ご家族で順番にお箸を運び、和やかな時間を過ごしてもらえたらと思います。

お店のお座敷と、ご自宅への配達

お食い初めのお祝いは、お店にご来店いただき、個室のお座敷でゆっくりと懐石・会席料理を召し上がる方が多いです。

ただ、まだ小さな赤ちゃんを連れての外出は、少しの荷造りや移動だけでも大変なものです。

だから、無理をせずご自宅で過ごしたいという方には、仕出し料理として配達でお届けしています。

大人の皆様には、お店と同じ味を仕切りのある器に詰めた「松花堂弁当」を用意します。

どちらでもお好きな方をお選びいただけます。お家ではもちろん、ご来店でのお座敷も個室ですので、赤ちゃんが泣いてしまったりお昼寝をしたりしても、周りを気にせずにお食事ができます。

ご自宅のお鍋で、ふわりと立つ湯気

仕出しの配達の際、ひとつの工夫があります。

松花堂弁当にはお吸い物が付きますが、お出汁は最初からお椀に入れず、別の容器に分けてお渡ししています。

お食事の直前に、ご家庭のお鍋でそのお出汁だけをサッと温めてください。

そして、具材の入ったお椀に熱々のお出汁を張ってもらいます。ふたを開けると、ふわりと良い香りの湯気が立ち上ります。

ご自宅でも、日本料理の温かいものは温かいうちに、美味しくお召し上がりいただけます。

赤ちゃんを囲む日が、ご家族にとって心地よい思い出になるようお手伝いをします。

お店でのお食事も、お家へのお届けも。ご都合に合わせて、気軽にお電話でご相談ください。

三月も半ばを過ぎました。

お彼岸を迎え、お寺での法要のあとに皆様で食事をされる機会が増える時期です。

また、卒業式や入学式など、ご家族の節目も重なります。

ご自宅やお寺の控え室で、ゆっくりと食事を楽しみたい。

そんなお声をいただき、最近は仕出し料理の配達で阿倍野の街を車で走る日が多くなってきました。

ふたを開けて、春の景色を見る

いま安来家でお作りしているのは、桃の節句や春の訪れをテーマにした弥生の献立です。

お店でお出ししている懐石・会席料理の品々を、仕出しの器や折箱にも丁寧に盛り込んでいます。

たとえば、先付。蛤の殻を器に見立てて、赤貝とわけぎの酢味噌和えを盛りました。

その上には、梅の形に抜いた人参と、うぐいすをかたどった長芋を添えています。

隣の小さなぼんぼりの器には、土佐酢で和えた白魚を。

ふたを開けた瞬間、春の景色がパッと目の前に広がるように整えます。

八寸には、さよりの小袖寿司を入れました。

シャリには細かく刻んだ梅を混ぜ込み、仕上げに軽くレモンを絞っています。

ほんのりとした酸味が、春の気候に心地よく馴染みます。

手間をかけて、春の苦味を美味しく

春の食材は、ウドやセリ、若ごぼうなど、特有の苦味やアクを持つ野菜がたくさんあります。

ただ、そのままでは少し食べにくいものです。

なので、厨房での下処理にいつも以上に手間と時間をかけます。

丁寧にアクを抜き、じっくりと出汁を含ませる。

そうすることでえぐみが消え、春の野菜が持つ本当の美味しさと香りを味わうことができます。

新じゃが芋とうすい豆は裏ごしして、なめらかな擦り流しに。

桜鯛は道明寺蒸しにして、出汁で炊いた新玉葱と、香ばしく焼き色をつけたつぼみ菜を合わせました。

どれも、ひと手間を惜しまずに仕上げた日本料理です。

ご指定の場所へ、そのままの味を

お寺でのご法事の席や、ご自宅でのご卒業・ご入学のお祝い。

周りを気にせず、身内だけで静かに時間を過ごせるのが、仕出し料理の良さだと思います。

ご指定のお寺やご自宅まで、盛り付けが崩れないよう慎重にお届けします。

お料理の内容は、今回ご紹介した献立を中心に、ご予算に合わせてご用意します。

お弁当の形やお届けの時間など、わからないことがあれば気軽にお電話でお尋ねください。

少しずつ暖かくなる気候とともに。皆様の春の集まりに、お料理で華を添えられたらと思います。

お祝いやご法事など、ご自宅で人が集まる日。

食事の準備をどうしようかと、迷うことがあるかもしれません。

「仕出し料理を頼んでみたいけれど、どう注文すればいいのか分からない」

初めて安来家にお電話をいただく方から、そんなお声を耳にします。

今日は、私たちのお料理がご自宅に届くまでの様子や、ご注文の段取りについてお話ししようと思います。

お店と同じ味を、ふたつの箱で

お届けするのは、お店でお出ししている懐石・会席料理と同じものです。

ご用途に合わせて、ふたつの形を用意しています。

ひとつは、黒塗りの十字の仕切りがついた器におさめる「松花堂弁当」です。

もうひとつは、白や黒の木の箱に詰めた「折詰弁当」。

こちらは食後にそのまま片付けられる使い捨ての箱ですが、ふたを開けたときの華やかさは変わりません。

青々とした笹の葉を敷き、ツヤのあるお造りや、配達直前に揚げた天ぷらを並べる。

出汁を含んだ煮物や、季節を映したあしらいを、それぞれの空間にきちんと収めていきます。

仕出しお弁当のページ

厨房での確認と、玄関先での手渡し

お家でふたを開けたときに美味しく召し上がっていただけるよう、出汁の引き方や火の入れ方を細かく調整します。

そして箱に詰める時。

彩りのバランスは整っているか。味が移らないように隙間なく詰められているか。

最後は必ず私自身の目で盛り付けを確認し、味の最終チェックをしてから、そっとふたを閉めています。

準備が整うと、お店の名前を書いた車で阿倍野の街を出発します。

配達は、基本的には玄関先でのお渡しです。

ただ、ご要望がありましたら、お家の中まで運び、皆さまの座るテーブルに並べるところまで手伝います。

集まりの直前は何かと慌ただしいものです。手が離せない時は、遠慮なくお声がけください。

お電話でお聞きすること

ご注文は、お日にちの2日前までにお願いしています。

お電話をいただいた際、いくつかお伺いすることがございます。

まずは日時と配達先のご住所、そして人数。

次に、器の松花堂弁当にするか、箱の折詰弁当にするか。

折詰弁当をご希望の場合は、持ち運び用の袋が必要かどうかも確認しています。

また、苦手な食材やアレルギーの有無もお聞きします。

ご予算に合わせた内容の変更も承っていますので、気兼ねなくお伝えください。

(なお、配達の際は5%の配達料を頂戴しています)

ちなみに、お店にご来店いただく場合でも、ご法事のあとなどで「あまり時間がない」という方がおられます。

コースで順番にお出しする日本料理は、お昼の懐石でもどうしても1時間半から2時間ほどかかります。

お急ぎのときは、一度にすべてのお料理がそろう松花堂弁当をお選びいただくのも、スムーズに進めるひとつの方法です。

初節句やお宮参り、卒業や入学。あるいは、大切な方を偲ぶ日。

ご自宅での集まりの食卓を、少しだけ楽に、そして豊かなものにするためのお手伝いをします。

わからないことがあれば、まずは気軽にお電話でお尋ねください。

お話を伺いながら、ちょうどいい形を一緒に整えます。

3月の声を聞くと、吹き抜ける風が少しだけ柔らかくなったように感じます。

街を歩く人たちの足取りも、どこか慌ただしくなる季節ですね。

卒業式や進学、そして新しい環境への準備。

出会いと別れが交差するこの時期は、日々の生活がパタパタと音を立てて進んでいくようです。

ここ阿倍野にある安来家でも、そういった節目のお祝いに向けた仕出しなどのご注文が少しずつ増えてきました。

ご家族で囲むお祝いの席や、お世話になった方へのご挨拶。

そんな大切なひとときのために、私たちは朝早くから出汁を引き、仕込みを始めています。

お祝いのお席へお届けする仕出し料理は、いつも以上に華やかさを意識して整えます。

私たちが大切にしているのは、お弁当をお渡しする時の最初の姿です。

安来家では、折詰弁当の掛け紙を季節ごとに変えています。

今の時期は、3月の桃の節句に合わせた柔らかな色合いの掛け紙をかけました。

淡い桃色を背景に、ぼんぼりや菱餅、そしてふっくらとほころぶ桃や梅の花が描かれています。

その上から細い金の紐を一筋かけます。

ただの木の箱が、祝いの包みに変わる。

折詰弁当を包むとき、お祝いの気持ちを込めて、私たちも少し背筋が伸びる思いがします。

そして、白木の蓋をそっと持ち上げた瞬間。

まずはふわりと、お料理の香りが漂うはずです。

蓋を開けていただいた時、見た目と香りから一気に「新しい春」を感じていただきたい。

そう考えながら、懐石・会席でお出しするようなお料理の数々を、

お弁当箱の小さなマスの中に一つひとつ盛り込んでいます。

例えば、左上のマスには春の訪れを告げる山菜と海老のかき揚げ、あおさの天ぷらを入れます。

薄い衣をまとわせて、サクッとした歯触りが残るように揚げています。

添えられたレモンを少し絞っていただくと、よりさっぱりとした風味が引き立ちます。

真ん中のマスには、春らしくうすい豆の擦り流し餡をかけた一品を。

そして右上のマスには、小さな春の象徴であるホタルイカや、出汁をたっぷり含んだだし巻き卵やサヨリの鮨など少しずつ彩りよく詰めました。

下の段には、新鮮なお刺身を笹の葉の上に盛り付けます。

金目鯛の祐庵焼きやしっとりとしたローストビーフも添えて、

ボリュームと味の変化を楽しんでいただけるようにしています。

一つのお弁当箱の中で、どのように季節の移ろいを表現するか。

彩りのバランスや、お箸を進める順序を想像しながら、丁寧に御料理の配置を決めています。

春は、これからの期待で胸が膨らむと同時に、少しの寂しさが入り混じる季節です。

だからこそ、美味しいお料理を囲んで、心穏やかな時間を過ごしていただきたいと思っています。

3月ならではのイベントや、ご家族の特別な節目に。

安来家の日本料理が、皆様の大切な日の思い出に少しでも彩りを添えられれば嬉しいです。

艶やかな朱塗りの丸盆を、静かに調理台へ置きました。

ここへ、いくつもの小さな春を乗せていきます。

日本料理の懐石において、季節の移ろいを一枚の絵のように見せるのが八寸です。

冷たい冬から春へ。3月はどのような景色を作るのか、順を追ってご案内します。


桜色と青の器が運ぶ、春の香り

まずは中央、少し高さを持たせた桜色の器から整えます。

中には、八朔とうるい、そして春の訪れを告げるホタルイカを合わせました。

そこへ、ぽってりとした黄身酢をトロリと掛けます。

果肉のみずみずしい黄色と器のピンク色が、パッと目を引くと思います。

その手前、青い器に盛り付けたのは若ごぼうの炒め煮です。

鍋に少しだけ胡麻油を引いて若ごぼうを炒りつけ、香ばしさを引き出します。

そして、ふっくらとした揚げと一緒に、たっぷりの出汁を含ませるように炊き上げました。

厨房に立ち込める出汁と胡麻油の香りが、春の力強い生命力を感じさせてくれます。

巻き簀から外したばかりの温もりと、桃の節句の彩り

盆の左側には、いつものように焼きたての湯気が立つだし巻き卵を添えます。

その手前には、車海老、よもぎの緑が鮮やかな蓬麩、黄身焼真丈を一本に束ねた三色串を。

桃の節句を思わせる、春らしい軽やかな彩りに。

右側へ目を移すと、小さな芽キャベツをぐるりと牛肉で巻いたものを置いています。

その下に少し隠れるように、こんがりと焼き目をつけた穴子八幡巻きを忍ばせました。

手前には、ほろ苦い菜の花をスモークサーモンでくるりと巻いた一品を。

緑と橙の対比が、盆の上をきゅっと引き締めます。

サヨリの小袖寿司に隠した、ひとしずくの工夫

そして、今回の八寸の中で私が密かにポイントだと考えているのが、右下手前にあるサヨリの小袖寿司です。

透き通るような美しい身のサヨリですが、ただシャリと合わせるだけではありません。

まず、白いシャリには細かく刻んだ梅を混ぜ込みます。

淡白なサヨリと梅の爽やかな酸味は、驚くほど相性が良いです。

梅の香りが移ったシャリとサヨリの間には、青々とした大葉を一枚挟みます。

そして最後に、仕上げとしてレモンを数滴だけ、きゅっと絞り落とします。

このわずかなレモンの雫が隠し味となり、全体の味わいがひとつの形にきれいにまとまります。

ひとくちに込める想い

箸でつまめば、どれもひとくちで食べ終わってしまうような小さな料理たちです。

けれど、そのひとくちの裏側に、食材の組み合わせや細かな段取りといった手仕事の想いを込めることで、会席のコース全体の中でこの八寸がとても重要な役割を果たしてくれます。

目に入る彩り、ほのかな酸味、出汁の温かな香り。

3月を感じていただくための小さな手がかりを、盆の上のいろんなところに散りばめました。

阿倍野の安来家にお越しいただき広間でゆっくりと過ごされる時も、ご自宅へ仕出し料理の配達でお持ちする時も。

蓋を開けた瞬間に、ふわりと春の気配を感じていただければと思います。

阿倍野の街も、少しずつ柔らかな春の空気に包まれています。

三月といえば、桃の節句。

この時期の日本料理に欠かせない食材といえば、やはり蛤です。

懐石・会席の席でも、春の訪れを告げる品として古くから大切に扱われてきました。

漆塗りのお椀の蓋を外し、そっと両手で持ち上げる。

その瞬間、ふわりと白い湯気が立ち上り、澄んだ出汁の香りが鼻をくすぐります。

今年の安来家では、蛤をそのままお吸い物にするのではなく、少し手をかけて真薯(しんじょ)に仕立ててお出ししています。

お椀の中央に据えられた、真っ白でふんわりとした真薯。

ここには、細かく刻んだ蛤の身だけでなく、蛤から丁寧にとった出汁もたっぷりと練り込んでいます。

箸をそっと入れると、柔らかな真薯の中から、蛤が持つ豊かな潮の旨みが、澄んだお出汁のなかへじんわりと溶け出していきます。

食べ進めるにつれて、お椀全体の味わいが少しずつ深みを増していく。

そんな、春先ならではの繊細な味の移ろいを楽しんでいただけるよう整えました。

そして、真薯の手前に寄り添うように添えているのが、新物の若布と筍です。

椀の黒を背景に、若布の深い緑と筍の淡い黄色が鮮やかに浮かび上がります。

これらは単なる彩りとしての「あしらい」と呼ぶにはもったいないほど、春を代表する立派な食材です。

昔から料理の世界では「春の出会いもの」と呼ばれています。

同じ季節に、海と山という全く違う場所で育った旬のものが、ひとつの器の中で出会う。

すると不思議なことに、若布の柔らかな磯の香りと、筍のシャキッとした歯ざわりや爽やかな甘みが、お互いを邪魔することなく、見事に引き立て合うのです。

このお椀全体をまとめる「出汁」についても、少しお話しします。

蛤を主役にする場合、素材の味をそのまま活かした潮汁(うしおじる)仕立てにすることが多くあります。

けれど、今回はあえて、安来家の王道である「昆布と鮪節」を使った清汁(すましじる)仕立てにしました。

その理由は、先ほどお話しした真薯にあります。

真薯の中に蛤の出汁をしっかりと抱え込ませているため、おつゆの中でほぐれた時に、中から十分すぎるほどの潮の旨みがあふれ出します。

もし、張る出汁まで蛤の潮汁にしてしまうと、少し味がぶつかり、強くなりすぎてしまうと考えました。

だからこそ、旨みを受け止める土台は、いつもの澄み切った昆布と鮪節の出汁がベストです。

厨房で何度も試作を作り、温度を変えて味わいを確認した結果、やはりこの組み合わせが一番だと落ち着きました。

主張しすぎない鮪節のまろやかな風味が、蛤の旨みを下から優しく支えてくれます。

三月のど真ん中をゆく食材を、ひとつの器に集めたお椀。

椀物はコースのなかでも花形と呼ばれる大切な一品です。

お店の席で出来立ての熱々を味わっていただくのはもちろん、ご家庭でのお祝いごとに向けた仕出し料理や、配達でお届けする際にも、この春の香りをお手元で感じていただけたらと思います。

蓋を開けた瞬間の湯気とともに、うららかな春の情景を味わってみてください。

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